ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチ|シリーズ 保健師のしごと。

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【シリーズ保健師のしごと。】もとうとう第5回目を迎えました!
打ち切りにならずに第5回を迎えられ、嬉しい限りです。

これまでのバックナンバーはこちらをご覧ください。

前回は、地域で働く保健師の基本的な部分である、地域診断とPDCAサイクルについてお話しました。
今回は、保健師が具体的にどんなことを行っているかについてお話しようと思ったのですが、その前にもう1つ皆さまへお伝えしたい考え方があります。

それは、「ポピュレーションアプローチ」と「ハイリスクアプローチ」です。
この考え方も、保健師活動に通ずるものですので、お付き合いいただけたらと思います。

保健師の関わりには、2つの視点がある!

第2回でお伝えしたように、保健師は働く場所により、対象が異なります。
しかし、どの領域においても、その対象は大人数であることがほとんどです。
ある地域に住む住民すべて、ある企業で働く社員すべて、ある医療機関で医療を受けた人すべて、ある学校に通っている人すべて…
ただ、すべての人ひとりひとりに目を向けることは、不可能ですよね。
そこで、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチの考え方が出てきます。

ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ

ある大人数の集団に対しての関わり方として、
ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ、2つの関わり方があります。

ハイリスクアプローチとは、健康障害を起こすリスクが高い人を見つけて、対策する方法で、
ポピュレーションアプローチとは、それぞれ個人のリスクとは関係なく、集団全体に対して対策する方法です。

日本看護協会「やってみよう!!ポピュレーションアプローチ」より抜粋


リスク別の分布図で考えてみると、
ハイリスクアプローチは、ハイリスクの人の人数を減らすような働きかけで、
ポピュレーションアプローチは分布全体を低リスクに少しずつシフトさせるような働きかけとなります。

それぞれの利点・デメリット

ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ、どちらが良くてどちらが悪いというものではありません。
それぞれ得手不得手がある、と考えていただけたらと思います。
以下にそれぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。

具体的な例で考えてみましょう。
ある地域で、高血圧の人をリストアップし、その方々の血圧を下げることで、脳卒中の人を減らすというアプローチはハイリスクアプローチになります。
高血圧の人であれば、自分でも「脳卒中のリスクが高い」と分かると「少しは生活習慣を見直さないとな…」という気持ちになりやすいですよね。
保健師としても「この人達、放っておくと大変なことになる…!」と、より緊急性を感じやすいかと思います。
ただ、この場合はあくまで高血圧の人達のみへのアプローチとなるため、それ以外の人達は何も恩恵を受けられない状況となります。
また、まずは地域の人に血圧を測ってもらわないことには、高血圧の人をリストアップすることさえできません。

対して、その地域の人全体に向けて血圧を下げる、または高血圧を予防するというアプローチは、ポピュレーションアプローチとなります。
例えば、地域住民全体へ減塩しましょうと働きかけることなどです。
この場合は、高血圧ではない人にもアプローチされますが、高血圧でない人はなかなか「血圧が上がらないように気をつけよう」という意識になりにくい現状もあります。

2つのアプローチで集団全体の健康を守る

このように、どちらのアプローチにも特徴があります。
そのため、ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ、どちらの視点からもアプローチすることで、集団全体の健康を守るという考え方になります。
次回は、市区町村保健師のお仕事についてご紹介したいと思いますが、今回お話した考え方をもとにご説明したいと思います。


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