それは本当に風邪?~風邪と間違えやすい呼吸器疾患~
【解説】
A. 風邪と似た症状が出る、呼吸器疾患の可能性もあります。
風邪だと思い込んだり自己判断したりせずに、医療機関にかかりましょう。
春になり、季節の変わり目による体調不良を感じている方も多いのではないでしょうか。花粉症によって鼻水や咳に悩まされ、同時に風邪を引きやすい時期でもありますね。
ですが、それ、本当に風邪でしょうか。
実は風邪ではなく、肺や気管支が何かしら病気のサインを出しているのかもしれません。
つまり、“呼吸器疾患”ということです。
ただの風邪と思ったら、病院で違う診断をされたということは珍しくありません。
今回は、風邪と似たような症状のある呼吸器疾患をお伝えします。
▪️ 呼吸器疾患とは
大きく言うとノド~気道~肺までの臓器を「呼吸器」と言います。
その呼吸器のどこかに細菌やウイルスが感染し炎症して起こったり、生活習慣によって起こる疾患のこと呼吸器疾患といいます。
たばこの吸いすぎで肺がボロボロになるもの、アレルギーにるもの、薬によるもの、遺伝的なものなど様々な要因により引き起こされます。
外的要因のものが良く知られていますが、内的要因のものもあります。
▪️ 呼吸器疾患には何がある?病名と症状
大きく分けると下記のような分類があります。
① 感染性呼吸器疾患 | ② 気道閉そく性疾患 | ③ アレルギー性肺疾患 |
④ 腫瘍性肺疾患 | ⑤ 間質性肺疾患 | ⑥ 肺血管性病変 |
⑦ 胸膜疾患 | ⑧ 呼吸不全 | ⑨ その他 |
とくに、風邪と似たような症状となるのが①の感染性呼吸器疾患や、③のアレルギー性肺疾患です。
呼吸器疾患は基本、風邪と間違えやすいですが、主に診断されるものをピックアップしてお伝えします。
① 感染性呼吸器疾患
病名 |
症状など |
かぜ症候群 |
健康な人でもかかる一般的な風邪。 鼻からノドまでに発生する急性の炎症のこと。 ウイルスによるものが多い。 鼻症状(鼻水・鼻づまり)、咽頭症状(のどの痛み)が主体。 |
インフルエンザ |
急性に熱が出る感染症で、寒い季節に流行しますが、一年を通してかかる可能性がある。
突然の発熱(通常38度以上の高熱)、頭痛、全身の疲労感、筋肉痛、関節痛、せき、鼻水、のどの痛みがある。 |
急性気管支炎 |
かぜ症候群からの影響でノドよりも奥の気管支に炎症が及ぶことで発症する。
せき、たん、発熱、食欲不振、全身の疲労感、胸の不快感のような症状がある。 |
肺炎 |
肺炎には様々なものがあるが、主に細菌やウイルスなどの病原菌が感染し、肺に炎症を起こす病気である。
せき、たん、息切れ、胸の痛み、発熱、疲労感、発汗、頭痛、吐き気、筋肉痛、腹痛、下痢などがある。 |
肺結核 |
結核菌が肺に感染して起こる病気。
せき、たん、血たん、だるさ、発熱、寝汗、体重減少がある。 |
② アレルギー性肺疾患
病名 |
症状など |
気管支ぜんぞく |
空気の通り道に炎症が起き、さまざまな刺激に気道が敏感になり、発作的に起動が狭くなることを繰り返す病気。
発作的にせきやたんがでる、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴い、息苦しくなる。(喘息発作)夜間や早朝に出やすいのが特徴。 |
▪️ まとめ
お気づきの通り、一般的に風邪と言われるものは、風邪症候群です。
呼吸器疾患の一つであり、かつ呼吸器疾患は似たような症状があるので、風邪だと勘違いすることが多いのです。
そのため、ご自身で判断し風邪薬を飲むだけでやり過ごすことが逆効果であることもあります。
本当に悪くなってからでは遅く、人によっては重症化し入院することもあります。
あまりにも治らなかったり、症状が続くときは必ず早めに受診し、悪化する前に予防しましょう。
また、細菌やウイルス感染していることが原因であることが多いので、必ず予防を意識しましょう。
基本的なことではありますが、下記を意識しましょう。
① 手洗い(可能なら消毒も)
② うがい
③ マスクの着用
また、マスクは風邪を引いているときも必ずつけましょう。
風邪をただの風邪で片付けず、しっかり意識して予防することで、元気で過ごせる日を一日でも増やして行きましょう!

保健師 上地

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