
病棟勤務中、元気に退院された方が職場復帰後に悪化し、再入院されるという場面に多く出会いました。
入院中のケアや指導で支援はできても、退院後の健康はご自身で管理しなくてはなりません。
病気が進行する一歩手前で、少しでも健康のお手伝いができたらと思い、産業保健師になりました。

臨床での看護師経験から、早い段階で目に見える成果を求めたり、何かをしてあげたい、という気持ちが強くなりがちですが、保健指導後に良い結果がすぐに出るとは限りません。
長い目で支援ができるように心がけています。
また、先入観を持たずに関わることも大切にしています。事前に把握している情報にとらわれてしまうと、会話の内容を予測したり、結論を想定したりして、物事の本質をつかめないことがあります。
思い込みはせず、本人の考え・感情を引き出すきっかけになるようなやりとりを心がけています。

受診者の年齢構成が関係しているのではないかと思います。
労働人口の高齢化に伴い、受診者に占める、中高年齢者の割合が増加していることが、有所見率上昇の一因になっていると考えられます。
また以前に比べ、業種も仕事の内容も多様化していることでしょうか。
長時間労働や、人員削減等の影響により、一人ひとりの業務負荷が高まっていること等も関係していると考えます。

労働環境や働き方に合わせた対応が必要だと思います。
仕事に伴う労働の負担は、身体的なものや精神的なものなど様々です。
業種が変わればライフスタイルも一人一人異なるので、広い視点で関わりができることがポイントだと考えます。

今、自分にできそうなことから始めることだと思います。
うまく実行できる自信がないと、行動にはなかなか結びつきません。
「少し頑張れば達成できる」、そんな小さな目標から ちょっとずつステップアップしていくことが、生活改善につながっていくのだと思います。