薬物療法とそれ以外の非薬物療法が行われます。
薬物療法は睡眠薬を使用するもので、症状にあわせて作用時間の短いものや長いものなど、それぞれ適したものが選ばれます。
睡眠薬は1度飲み始めたらやめられなくなるというような、まことしやかな噂もありますが、医師の指示通りに用法用量を守って正しく服用していれば心配はありません。
薬物療法(睡眠薬)
作用時間が2~4時間のものです。
別名「睡眠導入剤」と呼ばれ、薬の作用がすぐに現れます。その分、持続時間も短いので翌朝まで作用が残りません。
寝つきの悪い「入眠障害」などによく用いられます。
服薬してから15分後には効果が現れ始めるものもあるため、ベッドに入る直前に飲むことが望ましいタイプです。
作用時間が6~12時間のものです。
作用が現れるまでにかかる時間は比較的短く、持続時間も短めなので「入眠障害」や「熟眠障害」などによく用いられます。
一般的な副作用は鎮静作用と筋弛緩作用で、運転操作への支障があげられます。
服用後の運転は避けてください。
作用時間が12~24時間のものです。
作用が現れるまでにかかる時間は比較的長くかかりますが、持続時間も長いのが特徴です。
朝早く目が覚めてしまい、もう1度寝直すことが出来ない「早朝覚醒」などによく用いられます。
寝つきも悪いという場合には、長短時間型と併せて処方される場合もあります。
作用時間が24時間以上のものです。
薬の分解に時間がかかるため、起床後も薬の作用が続きます。
うつ病に伴う不眠などによく用いられる薬です。
日中の抗不安作用も期待できるので、1種類で早朝覚醒の改善と、日中の抗不安の両方の目的で使用されることがあります。
非薬物療法
睡眠障害を引き起こしている精神的ストレスや過度の不安、悩みなどを取り除く治療法です。
コミュニケーションを通して心理的なはたらきかけを行い、本人の行動や考え方の変化が起こし、問題が解決するよう試みるのもです。
最終的には、もとに抱えていた心理的な問題を解決し、 さらに本人が、生活環境の改善や積極性、人間関係の改善など、問題や悩みを解決できるカを獲得することができるようになることを目指します。
少しでも長く寝たい・・・という思いから、必要以上に長時間寝床で過ごしている人に対して、就床時間とからだの要求する睡眠時間との差を減少させる治療法で、認知行動療法のひとつです。
睡眠は「時間×質」が重要であり、特に深くて大切な良質の睡眠は最初の3時間ほどに現れるとも言われており、必要以上に長い時間の睡眠は、かえって睡眠の質が低下してしまいます。
不眠を訴える人の多くの人は睡眠の質よりも睡眠時間に気がとられてしまいがちとなっているため、睡眠の効率を高めることを目的に行われます。
就寝前に自律訓練法を行ったり、リラックスした時の脳波が出るようにコントロールしたりする治療法です。
全身の緊張を解放し、気持ちを落ち着かせることを自身でコントロールできるようトレーニングする「自律訓練法」や、緊張しているときの状態と脱力しているときの状態との違いを意識して、体の緊張がとれていくことを体感し、緊張している筋肉を緩める「筋弛緩療法」などがあります。
緊張を解放し、心身をリラックスすることで寝つきをよくすることが可能です。
睡眠時間帯が社会生活にとって望ましい時間帯とずれてしまっている人に対して、生体リズムを人為的にずらす治療法です。
具体的には2500~3000ルクス以上の高照度光(または人工光、太陽の光なら曇りの日の窓際で十分)を朝方に2時間ほど浴びるのが一般的とされ、主に「概日リズム障害」という睡眠障害の治療に用いられます。