急性ストレス障害と同様に、薬物療法と精神療法が行われます。
薬物療法は適切な服薬で感情の波を上手くコントロールしながら、元の生活を取り戻せるようにするためのサポートとして行われます。
精神療法は、過去のトラウマ体験を過去の出来事として終了させることを治療のゴールと設定します。
トラウマ体験を消化するためには、なかったこととして意識に上らないように押さえつけるのではなく、実際に起きてしまったこととして受け入れ、自分からその話ができるようになることが回復の大きな一歩となります。
薬物療法
主にSSRIを服用します。
これは神経細胞間のセロトニンの量のバランスを保つ薬で、1年以上の継続的な服用が必要です。
第一選択で用いられるケースが多い薬剤です。
三環系抗うつ薬は、抗うつ薬の中でも古くからうつ病の治療に使われてきました。
安定して効果が得られるという半面、副作用が強く出やすいという特徴があります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、即効性が高い薬で、頓用として用いられることが多くあります。
使用する場面に合わせて、作用時間の長さや作用の強さを考えて処方されます。
一般的な副作用は鎮静作用と筋弛緩作用で、運転操作への支障があげられます。
服用後の運転は避けてください。
精神療法
認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけて、そのバランスをとり、ストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく治療法です。
悲観的になりすぎず、かといって楽観的にもなりすぎず、地に足のついた現実的でしなやかな考え方をし、問題に対処していけるように手助けをします。
定期的な面接と、ホームワークを日常生活の中で行うことが効果をあげるために不可欠です。
一種の自己催眠法で、「体から心へ」働きかけて、体と心の緊張を低下させる治療法です。
「準備と姿勢」、「6つの公式」、「消去動作」といった実施の手順が決められています。
書店でビデオや本を購入することもできますが、できれば専門家の指導の元で正しい訓練法を習得しましょう。
慣れてくれば通勤途中の車内や仕事の合間でもできるようになります。