新型タバコは周囲に影響する!?

  健康管理, 病気・症状  

 

Q.新型タバコといわれる加熱式タバコは煙が出ない、また少ないという点で周囲へは影響がないのでしょうか?

【解説】

A.周囲への影響があるといわれています。
さまざまな研究結果がありますが、発売から年数が低く、健康障害へつながらないという確実な研究結果がないため、受動喫煙に関しても、影響がないとはいい切れません。


◆新型タバコとは?~電子タバコと加熱式タバコの違い~

新型タバコには「電子タバコ」「加熱式タバコ」の2種類があります。

電子たばこ

・ ニコチン:なし
・ 煙 多い
・ 商品例:VAPE

加熱式たばこ:葉タバコを直接加熱するものと、葉タバコを直接加熱しないの2種類

・ ニコチン:あり
・ 煙:ほぼなし
・ 商品例:葉タバコを直接加熱→IQOS、glo、葉タバコを直接加熱しない→Ploom TECH

◆電子たばこはニコチンが含まれていないのでいい? 加熱式たばこは煙が少なく周囲へ影響しない?

IQOS公式サイトでは、「IQOSのたばこベイパーは、紙巻きたばこより有害性成分を大幅にカット、約90%低減」いう旨が記載されています。

IQOS広告

<出所>IQOS公式サイト

なお、電子タバコ、加熱式タバコは、発がん物質の含有量は少なくなっているものの、微小粒子状物質やその他の毒素への曝露はあります。
タバコの特徴は少量の暴露でも有害です。

つまり、

有害性物質の低減 ≠ 健康障害の大幅な低減

といえます。

♦紙巻きタバコの影響

タバコは下記の疾患のリスクを高めています。

・ がん
・ 虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)
・ 脳卒中
・ 呼吸器疾患 例:慢性閉塞性肺疾患(COPD)など

さらに、FDM(血管内皮機能)検査※1で紙巻きタバコとIQOSで血管(大腿動脈径)の変化をみると、どちらも同様の変化があり、動脈硬化の始まりである血管内皮の機能低下が同様に見られたという研究結果もあります。

※1 FDM(血管内皮機能)検査:非侵襲的に血管の内皮機能検査で、安静時の血管の幅と駆血後の血管の幅(最大拡張期の幅)を測定し、血管の柔らかさを調べることができます。
血管が柔らかいということは血管内皮機能が高く、動脈硬化のリスクが低いという結果になります。

◆日本の受動喫煙対策への動き~加熱式たばこも規制対象~

平成30年3月9日に閣議決定された健康増進法の一部を改正する法律案概要によると、望まない受動喫煙防止を図るため、施設等における喫煙の禁止が、加熱式タバコについても検討されています。
現在の法律案概要では「学校・病院・児童福祉施設等、行政機関旅客運送事業自動車・航空機以外の多数の者が利用する施設、旅客運送事業船舶・鉄道、飲食店において加熱式たばこは原則屋内禁止(喫煙室内ではの喫煙可)」とされています。

現在、厚生労働省も加熱式たばこの受動喫煙による健康影響について調査研究を推進しており、その結果が出るまでの措置とされています。
健康につながる商品が多く開発されていますが、医療職者である我々はもちろん、消費者である皆様も多くの情報から正しい選択ができるよう関心を持っていただければと思います。

<参考>
・ 「受動喫煙対策 」(厚生労働省)

     


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保健師 金城志織

保健師 金城志織

皆様の健康維持・増進につながるよう、情報をお伝えしていきたいと思います。

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