『心療内科?』で大丈夫?

  メンタル, 雑学  

笑えない。何もやる気が起きない。眠れない。睡眠中に目が覚めてしまい、その後眠れなくなる。

これらの症状が2週間以上続いた場合は、早めに病院に行くことが大切です。
メンタル疾患の病院選びの基本は、
「精神科」か「心療内科」のどちらかになりますが、『心療内科』には大きな落とし穴が。。。

精神疾患の治療は難しく、病気が完治(寛解)できるかどうかは、主治医の腕にかかっています。

 

主治医となる医師の専門分野を見極めることが、病気を治せるかどうかの重要なポイントのひとつです。

心療内科?より「精神科」を選びましょう!

企業で「休職願い」を提出したメンタル不調者の主治医を調査した結果、おおむね80%以上の人が、「心療内科」のクリニックで治療を受けています。
「精神科」に通院している人は20%以内と驚くほど少ない数字です。

心療内科とは、ストレス性の身体症状を扱う専門医のことをいいますが、日本の大学で、「心療内科」の教授がいる医学部は、東京大学、東邦大学、関西医科大学、九州大学、鹿児島大学の5大学しかありません。また医局員も各大学とも数名しかいませんので、専門的に「心療内科医」としての教育を受けた医師は本当は極めて少ないのが実情です。本来、非常に少数しかいないはずの「心療内科」の医師の多くは、大学の付属病院で勤務をしています。

最近急増した「心療内科?」のクリニックで、本当の「心療内科医」に出会えることはほとんど期待できません。

多くの方が主治医としている「心療内科医?」とは、
どういう専門性をもった医師で、どのような治療を今までされてきたのか。。。。
心配ではありませんか?

一方、「精神科」はほぼすべての大学医学部に設置されています。
人数は医師全体の5%程度と少なく、精神科は現在、医学生の中で最も人気が高い科目です。成績優秀な学生しか、精神科の医局に入局できないと言われるようになってきています。

 

主治医の専門性は、通院しているクリニックの標榜科目をみればすぐわかります。

「心療内科?」を標榜しているクリニックの医師の約半数は、「消化器内科」が専門の医師です。
心療内科医学・療法を専門に勉強してきた先生に出会えることは極めて稀だと考えてください。

医療コンサルタントの多くが、患者数を増やしたいなら、標榜する科目を増やしなさいと指導していることが背景にあり、内科だけでは経営が厳しいクリニックが、「心療内科?」を標榜していることが多いと感じます。内科だけで患者で一杯になっているクリニックが、更に患者を増やしてしまっては、医療の質が落ちてしまうため、標榜科目を増やすことは普通はありません。なお、心療内科が得意とする病気に、「ストレス性の胃腸炎」があることから、消化器内科医が、「心療内科医?」を標榜する傾向があります。

「心療内科?」を標榜する内科のクリニックの特徴として、
患者単価を上げるために薬の数がやたらと多い傾向があり、治療方針は、治すというよりは、現状維持なら充分という考えで薬を処方しています。
診療時間は、本来長くて当然のはずですが、内科の患者と同じくらいの短い時間で診察します。
また、会社に提出する診断書を書いて欲しいと頼むと、嫌そうな態度になるか、「どう書いて欲しいか」と逆に相談してくる医師があまりにも多くみられます。

 

上記のようなクリニックでも、「精神科」を標榜することは少なく、院内に精神科の専門医・指定医が1人もいない場合、同じ治療でも保険点数が下がってしまうというルールがあることから、精神科の勉強をしていない医師が「精神科医」を標榜しても意味がなくなるように制度上の工夫がなされています。

長期に亘り、症状が辛いのであれば、精神科を選んだ方が絶対にいいのですが、はたらく人の8割は、自分を「軽症」だと思っていたいからなのか、「心療内科?」を選んでしまいがちです。

メンタル不調者に処方される薬の多くは、脳内にある神経伝達物質のバランスを調整する薬です。精神科医は、脳内の専門医であり、物質の過不足を診断することに長けていますが、心療内科医?=消化器内科医は、胃腸の専門家です。

胃腸の専門家に、人体で最も重要な脳内の治療を任せてしまうことが心配ではありませんか?

 

 

 

きちんと病気を治したいのであれば、クリニックの標榜科目は、単科の「精神科」のクリニックか、精神病院(急性期の患者を診る個人病院は少ないため、大学病院クラスの精神科医が複数名勤務している総合病院が望ましいと思います)がお勧めです。

専門クリニックが近所にない場合は、「精神科」「心療内科」という2科目のクリニックを選んで欲しいです。

もし、1科目目に「内科」という文字が入っているのなら、専門性はほとんどないと考えたほうが無難です。
精神科の専門医は、実は、内科がものすごく苦手な医師が多く、内科を標榜する方は滅多にいません。

病院選びはまず情報収集が大切です。いい先生に出会えることお祈りしています。

整理をすると
①医学部で、「精神科」の医局出身者で、大規模な精神病院での勤務経験が豊富で、
②「精神保健指定医」等の資格を持っていること(指定病院での勤務が資格取得のために必須です)
③30代後半くらいまでの若い「精神科医」で、
④患者の話をじっくり聴いてくれて、治療方針やを親切丁寧にわかりやすく説明してくれる先生
を選びことをお勧めします。

①と②については、クリニックや病院のホームページで掲載されるようになっていますので、注意して調べてみてください。
また③の30代後半くらいの精神科医を選びたいと書いた理由は、
若い先生の方が、最新の医療知識が豊富であり、日進月歩となる新薬も積極的に使う傾向があり、なによりも、患者を治したいという熱意をもった方々が多いためです。メンタル不調者が急増してから、まだ10年程度のため、大学を離れてから何年も経っている年配の開業医の場合、最新の治療は難しいような気がします。
<追記>
本当の心療内科医は、精神医学と内科医学の両方に精通した勉強熱心で素晴らしい先生です。心療内科医?とは大きく違います。
大学や精神病院での勤務経験がない心療内科医?でも、長らく治療を続けているうちに、適切な治療を身につける方も当然います。
心療内科?クリニックがあまりにも増えたため、必要なタイミングで、必要な治療を受診できずに、脳内の状態を悪化させてしまった結果、なかなか病気が治らないという患者が増えています。医師の専門性の有無にかかわらず、医師はすべての科目が標榜できるという制度の弊害の一例を紹介しましたが、病院選びは自己責任でお願いします。


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高橋 雅彦

高橋 雅彦

早稲田大学理工学部卒業後、日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)にて、M&A業務、ベンチャーキャピタル業務等を経験。邦銀初の病院融資専担部門の課長を経て、2004年に株式会社ドクタートラストを設立。代表取締役に就任。現在9期目。なお、NPO法人バイオマーカーがん予防フロンティア 理事、NTTファイナンス顧問(病院融資)などを兼職。
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