他の気分障害と同様に、薬物療法による治療や生活を改善するための生活指導、認知行動療法などの心理療法が行われます。
従来型のうつと違い、薬は補助的に使われることが多く、生活のリズムや環境を整えるといった環境調整や、社会性を育てる心理教育が主となることが多いようです。
生活指導
仕事にいける場合には、多少辛くても時間どおりに会社に
出かけたり、仕事に取り組むことも必要です。
やらなければいけないことがあり、それに取り組むことが、
精神の覚醒を促すため、体内リズムを正常にしてくれます。
好きなことだけをやっていると、睡眠・覚醒のリズムが乱れ、
逆効果となることもあります。
朝起きたら、「今日は○○をしよう」「○○をやり遂げよう」と、
その日の目標を持って毎日を送ることが大切です。
「この本を読もう」など簡単なことで構いません。
「何かをしないといけない」と自分自身で自覚を持つことが、
昼間の覚醒を促し、生活リズムを整えるのに役に立ちます。
朝は決まった時間に起き、夜は12時前には寝るという規則正しい生活習慣を心掛け、1日24時間でサイクルする体のリズムを整えましょう。
私たちの体内時計は、朝起きて目に光が入り、脳の松果体からメラトニンという睡眠物質の分泌が抑制されることでリセットされます。
体を動かす方法としては、掃除や片づけもオススメです。
適度な運動になるだけでなく、「今日は机の片づけをする」といったようなことが、その日の目標になってリズム調整に役立ちます。 また、綺麗になると達成感も感じられます。
さらに体を動かす姿を周囲の人が見ると安心感を得られ、 感謝されることで人間関係の改善にもつながります。
1日1回は外に出て、光を浴び、散歩をするなど体を動かすようにします。
ウォーキングなどの軽い有酸素運動をすると、脳の中では気分を安定させる脳内物質が増え、気持ちが楽になります。
精神療法
認知のクセや歪みを修正することで、ストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく療法です。
悲観的になりすぎず、かといって楽観的にもなりすぎず、地に足のついた現実的でしなやかな考え方をし、問題に対処していけるように手助けをします。
定期的な面接と、ホームワークを日常生活の中で行うことが効果をあげるために不可欠です。
最も基本的な精神療法で、悩みや不安をよく聴き、それを理解して支持することを基本としています。
訴えに対して、良いとか悪いとか間違っているというような価値判断はせず、安易に励ますこともしません。あくまでも支持することによって、まず当事者と専門家との信頼関係を築くようにします。そして悩みを言語化してもらうことで気持ちを楽にさせ、自己分析や精神的自立ができるようになり、回復をはかるものです。
薬物療法
不安およびそれに関連する心理的・身体的症状に使われる薬です。
服用後1~2時間くらいで効果が現れます。不安やイライラ感を対症的に軽減するために使われ、うつ病そのものの治療手段ではありません。睡眠薬と同じように眠くなる作用もあるため、不眠に対しても使われることがあります。
主としてうつ状態の軽減を目的とする薬です。三環系、四環系、SSRI、SNRI、MAO阻害薬などいろいろな種類があります。必ず医師の指示に従って服用をしてください。