まず治療を始める前に、これまで抱えてきた仕事や
家事などの荷物を少しの間下ろし、疲れたこころと
身体を十分に休めることが重要です。
そして、薬物療法によって脳内物質のバランスの乱れを調整しつつ、必要に応じて認知行動療法や支持的精神療法などを行っていきます。
うつ病を治すためには、本人だけでなく家族や職場など周囲の人の理解と協力が重要です。
休養・環境調整
仕事や趣味等のジャンルを問わず、「やってみようかな」と思ったらやればいい、「疲れた」と思ったらやめればいい、「気が進まない」と思ったらやらなくてもいい。そしてそんな自分を責めなくていい。
今まで頑張ってきて疲れてしまったのだから、次の段階へ進むための「期限付きの甘え」の期間と考えましょう。
環境を変えるときは、時間をかけて段階的に行うことが重要です。
復職の際も、元の部署が忙しいからといって安易に異動するのではなく、特別な理由がない場合は、一旦元の部署に戻し、業務負担を軽減して様子を見、本人の意向も聞いたうえで異動とするほうが良いでしょう。
薬物療法
不安およびそれに関連する心理的・身体的症状に使われる薬です。
服用後1~2時間くらいで効果が現れます。不安やイライラ感を対症的に軽減するために使われ、うつ病そのものの治療手段ではありません。睡眠薬と同じように眠くなる作用もあるため、不眠に対しても使われることがあります。
主としてうつ状態の軽減を目的とする薬です。三環系、四環系、SSRI、SNRI、MAO阻害薬などいろいろな種類がありますが、どの薬も効果が明らかになるまでに数日~数週間かかるので、副作用(主に眠気、口の渇き、便秘、排尿困難など)が強く出ない限りは根気強く飲み続ける必要があります。
少ない量から初めて、効果がでるまで徐々に増やし、十分な量を十分な期間使うことが原則とされており、減量も少しずつしなければなりません。
精神療法
認知に働きかけて、そのバランスをとり、ストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていく療法です。
悲観的になりすぎず、かといって楽観的にもなりすぎず、地に足のついた現実的でしなやかな考え方をし、問題に対処していけるように手助けをします。
定期的な面接と、ホームワークを日常生活の中で行うことが効果をあげるために不可欠です。
一般的に「カウンセリング」と呼ばれているものです。最も基本的な精神療法で、悩みや不安をよく聴き、それを理解して支持することを基本としています。
訴えに対して、良いとか悪いとか間違っているというような価値判断はせず、安易に励ますこともしません。あくまでも支持することによって、気持ちを楽にさせ、精神的に自立できるようにし、回復をはかるものです。