『寝酒』の大きな落とし穴
先日、久しぶりにお酒を飲み過ぎた日がありました。
飲酒頻度は2~3回/月の付き合い程度で、ワイン好きの私は1杯で十分楽しめ、2杯目には酔う程、アルコールには弱い体質です。
しかし、その日の飲酒量は嗜む量を越していました。
記憶の限りではその晩の気分は悪くなく眠りも早くて、また翌朝は目覚めが早く、思いのほか体も軽かったのですが、酔いが覚めるにつれて気分はスッキリせず疲労をいつも以上に感じました。
さてここで社員さんとの面談でのシーン
「なんとなく」「飲まないと一日が終わらない」「食事に当然あるもの」等の理由で、毎晩の晩酌が習慣化している方がいます。
翌朝の勤務時間帯には体も辛いはずですが、なぜ飲酒しない日をつくることに気が進まないのでしょうか?
アルコールには2つの特徴があります。
① 一つは、短期のご褒美
② 二つは、長期作用による前頭前野の機能低下・報酬系ドパミン神経の働きの鈍化
です。
①には、意欲・ストレス耐性・喜び・快楽などに関与するドパミン神経がアルコール摂取により興奮する作用で、日常での困難な事情に対して、一時的に解消されたかのような心地良さを与えてくれます(なので“ごほうび”となります。)しかし、あくまでもこれは一時的です。
②はその逆です。長期的にアルコールを摂取することで理性を司る神経機能が低下・萎縮し、以前は1杯で楽しめたものが2杯・3杯と増やさなければ楽しめなくなったり(自制の崩れ)、お酒が無いと調子が出ない・不安になると言う状況へゆっくりと変化をもたらして行きます。
つまり初めは疲労から解放されたり心配事が紛れるなど、適量の摂取であれば良い効果を実感しやすい為「アルコールが心地よい飲み物」であると学習をしますが、徐々に無くてはやっていけないもの(優先順位の崩れ)、更にはいつの間にか体には悪いと分かっていても止められないと言う悪循環が成立していきます。言うまでもありませんが、アルコールには根本のストレスまで解決する効果はありません。また、このメカニズムはアルコールに限ったことではなくタバコやゲームなどの嗜好品や趣味にも実は当てはまります。
その理由には、このドパミン神経の興奮作用で得られるアルコールの良い効果に目が行きやすいと言う落とし穴への注意喚起と言えます。「飲まれてはいない、飲んでいるのだ」と言う頃には、すでにアルコール無しの生活に対する不安のあらわれかもしれません。
気付いたら、アルコールなしでは、気分の不調が和らげない飲酒になってはいませんか!?
疲労やストレスが蓄積して辛い場合にはアルコールではなく、相談や休暇取得、運動などで和らげたいものです。
産業医や保健師は仕事に支障をきたすような精神的負担についてもご相談をお受けしています。個人情報も守られた上で、状況を良くお伺いし相談ができますので、是非活用してみて下さい♪♪♪
保健師 林晴香
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